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ヒューマンライズ Labo

2026.06.22
令和6年会計基準施行から1年でみえてきた課題

「研究会」だより

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令和7年4月1日に施行された「新公益法人会計基準」。1年が経過し、新基準下での初めての決算を終えられる時期になりました。

施行前には多くの議論や不安の声もありましたが、実際に1年間の運用を経て、現場ではどのような変化があり、またどのような課題が浮かび上がってきたのでしょうか。今回は、新基準施行後の実務を振り返りつつ、今後私たちが直面すべき「課題」について整理してみたいと思います。

    1. 「適正な事務」から「見える化」への転換

    今回の基準改正の大きな柱の一つは、財務情報の透明性を高め、ステークホルダーへの説明責任をより明確にすることでした。特に、区分経理の原則化と費用科目の形態別分類から活動別分類への変更は、外部への報告の形式が変わる部分であり、多くの法人が「自分たちの活動が、果たして外部から見て分かりやすい財務情報になっているか」と向き合うことになりました。

    現場の皆様からは、区分経理をはじめとして、以前よりも「処理が煩雑」「管理が複雑」になったという声を多く伺います。このような「詳細なデータ」は、ただ会計基準に沿って集計して終わらせてしまうのではなく、提供する情報を正しく外部に伝えるためにも、現場の担当者の皆様の正しい理解も重要となっています。


    2. 施行から1年で見えてきた「3つの壁」

    新基準施行から1年が経過し、実務担当者の皆様から特に多く聞かれた「課題」は以下の3点です。

    ① 「区分経理」の複雑化という現実
    新基準では、貸借対照表の会計区分別内訳の注記作成が原則化され、これまで貸借対照表内訳表を作成していない法人は、資産・負債を各会計に初期値をどのように振り分けるのかは、重要なテーマであり、その後、継続記録により作成していくのか、棚卸的な作成を続けるのか管理手法の決定が必要です。

    また、収益・費用の観点ではこれまでの共通経費の事業費・管理費の振り分け、各事業区分への振り分け、配賦に加え、収益・費用の財源区分別内訳の注記作成にあたっては、この財源の区別を行うタイミングと方法は1つの課題となります。

    これらのことを事前に準備、検討の上、一定のルールに則って処理しなければ、現場の担当者の処理の停滞、混乱を招き、さらに実態に即した論理的な方法に拠らなければ、財務情報に歪みが生じ、経営判断を誤るリスクがあります。

    ② 「経過措置」という期限付きの安心感
    新基準では、経過措置が設けられています。これにより、施行直後の混乱は最小限に抑えられました。しかし、この経過措置には、当然「期限」があることに注意が必要です。 「今のやり方でとりあえず決算を終え、定期提出書類の提出ができたから大丈夫」と安心していると、経過措置が終了した瞬間に、システムや経理フローを大幅に見直さなければならなくなる可能性があります。「経過措置期間中に、正式な新基準移行を正しくイメージし、どれだけ適切な準備を並行して進められるか」という準備力が必要です。

    ③ 「基本財産」や「特定資産」として管理していた金融資産をどう扱うか
    これまで「基本財産」「特定資産」として取り扱ってきた金融資産に関して、新基準では、この区分が廃止され、1年基準により流動、固定分類されることになります。また、貸借対照表には、機能、目的が示されることはなく、公益法人にとって重要な財務情報の1つであったものが、財務諸表本表から外され、財産目録において該当資産に対して「使途拘束資産」「基本財産」といった情報を記載するのみ(特定資産の情報の記載は任意)になり、それぞれの総額は一覧できる状態にはなりません。これまでの基本財産や特定資産の維持管理を継続される場合は、新たな流動固定分類した金融資産についてその口座、商品全体の金額とは別に科目を目的別に細分化し仕訳、記帳することで目的別に集計可能にしておくことが必要になります。


    3. 会計を「事務」から「戦略」へ

    新基準施行から1年。ここでお考えいただきたいのは、「会計データは、法人の意思決定に活用できる状態にあるか」という点です。

    多くの場合、会計基準の改正対応は「守りの事務」と捉えられがちです。期限までに書類を揃え、間違いなく入力を完了する。もちろんこれは最優先事項です。しかし、本来、公益法人の会計は、法人が「どのような社会的価値を生み出したか」を証明する武器にならなければなりません。

    今、私たちが取り組むべき課題は、単に「新基準に合わせる」ことではありません。 「新基準によって明らかになる財務情報を、中長期的な活動計画にどうフィードバックするか、そのために必要な補足情報はないか」という、視点を持つことです。


    4. まとめ:これからの1年に向けて

    新基準施行から1年。この時期に決算を終えられた皆様、お疲れ様でした。新基準に移行済みの法人、これから移行を進められる法人、それぞれの立場で今一度、見つめ直してみてください。ここから「活用フェーズ」に向かっていかなければなりません。

     ・ 配賦基準は実態に即し、根拠資料は、適切に開示できるものか?
     ・ 経過措置終了後の処理について、具体的なシミュレーションはできているか?
     ・ 決算数値から、来期(以降)の事業戦略を読み解くことができているか?

    これらを見つめ直すことが、結果として、法人の持続可能性を高めることにつながります。

    私たちが提供するソフトウェアやサポートは、単なる事務処理の効率化のためだけのものではありません。皆様がこうした「経営の課題」に向き合い、法人の社会的使命を果たすための「戦略ツール」となることを目指しています。

    新基準という新しい羅針盤を得た今、法人の未来図をもう一度描き直してみませんか。今回の決算で見えた課題は、次のステージへ進むための貴重な道しるべです。ぜひ、現場の知見を次の予算編成や事業計画に活かしていきましょう。

    次なる1年も、皆様の組織がより社会のお役に立てるよう、全力でサポートさせていただきます。


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