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「登記したから大丈夫」は危ない——役員改選後に必要な2つの手続きを整理する
2026.07.13
「登記したから大丈夫」は危ない——役員改選後に必要な2つの手続きを整理する
法令・制度改正

役員変更の登記を終え、手続きが完了したと思い込んでいませんか。所轄庁への届出まで終えて初めて完了となるため、実務で必須となる2つの管理方法を整理します。
目次
1. はじめに
定時評議員会・社員総会が終わり、ようやく役員改選の作業が一段落した方も多いのではないでしょうか。 議事録の作成、就任承諾書の収集、司法書士への登記依頼……やることが多く、本当にお疲れ様です。
ただ、ここで一つ確認してほしいことがあります。
「登記を依頼したから、役員変更の手続きは完了した」と思っていませんか?
実は、公益法人には登記とは別に、所轄庁(内閣府または都道府県)への変更届出が必要です。 この2つは、提出先も期限も根拠法もまったく異なる、独立した手続きです。
「登記だけでいい」と思い込んでいる担当者は少なくありません。 この記事では、役員改選後に必要な2つの手続きの全体像と、実務での管理方法を整理します。
2. なぜ「登記だけ」では終わらないのか
一般の株式会社であれば、役員変更は法務局への登記1本で完結します。 しかし、公益認定を受けた法人(公益社団法人・公益財団法人)は違います。
公益法人は、公益認定法(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)に基づき、内閣府または都道府県の行政庁による監督を受けています。 役員構成は、公益認定を受けた際の申請内容の一部です。 そのため、役員に変更があった場合は、登記(法務局)と届出(所轄庁)の両方を別々に行う義務があります。
「そんな手続きがあるとは知らなかった」という担当者の声は珍しくありません。 しかし、知らなかったでは済まないのが、この届出の怖いところです。
3. 2つの手続きの全体像
まず、2つの手続きを横並びで確認します。
この表で重要なのは2点です。
1つ目は、期限の非対称性です。 登記は「2週間以内」という厳格な期限があります。 届出は「遅滞なく」とされており、日数の明記はありません。 しかし「期限が曖昧だからゆっくりでいい」という判断は危険です。 遅れれば行政庁から指摘を受けます。
2つ目は、再任の扱いの非対称性です。 同じ人が再び選任された場合(重任)、登記は必要、届出は不要です。 この違いを知らずに「変化がないから両方不要」と判断してしまうケースがあります。
4. 実務ポイント:やること・やってはいけないこと
▼ Do:やるべきこと
① 登記と届出を「2つのチェックボックス」として管理する
改選が完了したら、以下の2つをそれぞれ独立したタスクとして立てます。
・ [ ] 変更登記(法務局) : 変更から2週間以内
・ [ ] 変更届出(所轄庁) : 登記完了後、速やかに
② 届出のドラフトは、登記完了前から準備を始める
所轄庁への届出書類には、登記完了後の登記事項証明書が必要です。 そのため、届出は登記の後になります。 ただし、届出書類のドラフト(役員名簿・届出書の記載)は、登記完了を待たずに事前に作成を始めておくのが実務上の正解です。 登記完了と同時に届出を提出できる体制を整えておくことで、「遅滞なく」の要件を満たせます。
③ 役員名簿は、登記簿の記載順と一致させる
届出書に添付する役員名簿は、<strong>登記簿の登載順と一致させることが求められています(内閣府のメールマガジンで明示)。 前回の届出データを流用して更新する場合、退任者の行を残したままにしたり、新任者を末尾に追加するだけにしたりすると、登記簿の順番とずれることがあります。 提出前に必ず、登記事項証明書と名簿の順番を突き合わせてください。
④ 再任・新任が混在する場合は個別に確認する
同じ改選でも、「全員再任」「一部が新任」では届出の要否が変わります。
・ 全員が任期満了後の再任(重任)→ 登記は必要、届出は不要
・ 1人でも新任・退任がある → 届出が必要(新任・退任した人について届出対象となる)
改選のたびに「今回は誰が新任で、誰が再任か」を確認することが重要です。

▼ Don't:やってはいけないこと
「登記を依頼したから終わり」と思わない
司法書士に登記を依頼した場合、所轄庁への届出は依頼の対象外です。 届出の準備・提出は、法人の担当者が自ら行う必要があります。
「届出に日数の定めがないからまとめてやればいい」と後回しにしない
届出を1か月・2か月と放置すると、行政庁から「遅滞している」と判断されるリスクがあります。 登記完了後、速やかに届出に取りかかるのが原則です。
「再任だから何もしなくていい」と判断しない
全員再任であっても、登記(重任登記)は必ず必要です。 「役員が変わっていないから登記は不要」という判断は誤りです。 登記を怠ると、代表者等に100万円以下の過料が科せられる可能性があります(一般法人法第342条)。

▼ 放置した場合のリスク
特に登記の怠慢は、法務局が職権で過料通知を出すケースがあります。 「気づいたら数年間、登記をしていなかった」という事態は、公益認定法人としての信用にも直結します。
5. まとめ:2つのチェックボックスを持つことが、担当者の実務を守る
役員改選後に必要な手続きを整理します。
1.変更登記(法務局):変更から2週間以内。再任も必要。
2.所轄庁への変更届出(内閣府または都道府県):変更後、遅滞なく。再任は不要。
この2つは、提出先も期限も根拠法も異なります。 「登記した=完了」ではなく、「登記と届出、両方が完了して初めて完了」という意識が必要です。
改選シーズンは毎年やってきます。 今年から「2つのチェックボックス」を管理の習慣にしておくことで、来年以降の手続きも迷わず進められます。 手続き漏れのリスクを減らし、公益認定の維持につなげてください。

※ 本記事の内容は令和8年6月1日時点の法令・行政庁の案内に基づいています。手続きの詳細は所轄庁または専門家にご確認ください。







