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    情報開示、うっかり漏れていませんか?公益法人に義務付けられた公表事項チェックリスト

2026.09.14
情報開示、うっかり漏れていませんか?公益法人に義務付けられた公表事項チェックリスト

「研究会」だより

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令和7年度分の事業報告等は、もう提出を終えられた法人が多いのではないでしょうか。決算・提出という大きな山を越えて、ほっと一息つきたいところです。

ですが今回の制度改正では、事業報告に記載すべき事項がいくつか拡充されており、中には提出直前になってから慌てて用意できるものではない項目も含まれています。令和7年度分をすでに提出された法人こそ、今のうちに次の提出に向けた準備を始めておくと、来年は落ち着いて対応できるはずです。

今回は、公益法人に求められる情報開示の全体像をおさらいしたうえで、新たに記載が求められるようになった事項を含め、次の事業報告に向けたチェックリストとしてまとめました。

    1. 公益法人の情報開示は「3つの層」でできている

    公益法人の情報開示というと、つい「行政庁に書類を出せば終わり」と考えてしまいがちですが、実際には性質の異なる3つの対応が求められています。

    ・ 1つ目は、行政庁への定期提出書類です。
    毎年、事業年度が始まる前日までに「事業計画書等」を、事業年度終了後3か月以内に「事業報告等」(財産目録、役員等名簿、報酬等の支給の基準を記載した書類、社員名簿、計算書類、附属明細書、運営組織及び事業活動の概要を記載した書類など)を、それぞれ行政庁へ提出する必要があります。3月31日決算の法人であれば、事業報告等の提出期限は6月30日です。令和7年度の事業報告からは、この記載事項がいくつか拡充されており、詳しくはⅡで取り上げます。

    ・ 2つ目は、事務所での備置き・閲覧対応です。
    定款、財産目録、役員等名簿、報酬等の支給基準を記載した書類、事業計画書等、計算書類等は、主たる事務所で5年間、従たる事務所で3年間備え置くことが義務付けられています。誰かから閲覧や謄写を請求された場合、正当な理由なくこれを拒むことはできません。

    ・ 3つ目は、インターネットを通じた公表です。
    行政庁は「公益法人information」で、各法人の基本情報や提出書類の一部を公表しています。掲載されている情報が古いままだったり誤りがあったりすると、対外的な信頼にかかわるため、定期的に自法人のページを確認しておくと安心です。


    2. 次の事業報告に向けて、今のうちに確認しておきたいチェックリスト

    令和7年度分の対応が一段落した今だからこそ、次の提出に向けて確認しておきたいポイントをまとめました。最初の2項目は、令和7年度の事業報告から新たに記載が求められるようになったもので、提出直前ではなく日頃の業務の中で準備しておきたい内容です。

    ▢ 財産上の利益が2,000万円を超える理事・監事が現在または近い将来に存在しないか把握し、該当者がいる場合はその金額と「なぜその金額なのか」の理由(業務内容、属人的能力、同種・同規模の法人や社会通念に照らした水準との整合性など)を、理事会・評議員会の議事録として残しているか

    ▢ 理事会・監事の活動状況、内部統制・リスク管理への取り組み、ガバナンス充実に向けた具体的な施策について、説明できる材料を整理できているか。何か目新しい取り組みを新設する必要はなく、まずは「今、実際に行っていること」を言葉にできる状態にしておくことが第一歩です

    ▢ 経理的基礎を担保する体制(公認会計士・税理士による監事の配置、経理経験者の配置状況など)について、どの区分で説明するかを整理できているか

    ▢ 事業報告等の提出期限(事業年度終了後3か月以内)を、来年度分としてすでにスケジュールに登録しているか

    ▢ 備置き書類(定款、財産目録、役員等名簿、報酬等の支給基準を記載した書類など)が、最新の内容に更新されているか

    ▢ 閲覧・謄写請求への対応窓口・対応フローが、担当者が変わっても引き継がれる形で決まっているか

    ▢ 「公益法人information」に掲載されている自法人の情報を、最後にいつ確認したか思い出せるか

    一つでも「あやしい」と感じる項目があれば、次の決算を待たずに、今のうちに社内の担当者間で確認しておくことをおすすめします。特に報酬額の理由づけやガバナンスに関する説明は、日頃の議論の積み重ねがあってこそ書けるものです。


    3. なぜ、こうした項目が新たに求められるようになったのか

    令和7年4月の公益法人制度改正では、「行政手続の簡素化・合理化」と並んで「自律的ガバナンスの充実・透明性向上」が改革の柱の一つに位置づけられました。Ⅱで取り上げた役員報酬の理由づけやガバナンスに関する情報の記載が新たに求められるようになったのも、この流れの一環です。公益法人は税制優遇を受ける公益性の高い法人であるからこそ、「いくら払っているか」だけでなく「なぜその金額なのか」「どのような体制・取り組みで適正な運営を確保しているのか」を、社会に対して自ら説明することが期待されるようになったといえます。

    なお、事業報告等の記載事項の拡充は、今回ご紹介した2つに限りません。運営組織に関する記載事項にはこのほかにも細かな追加・修正が加えられていますので、詳しくは行政庁が公表している定期提出書類の手引きをあわせてご確認ください。

    情報開示に関する対応が不十分な状態が続くと、行政庁による報告徴収や立入検査の対象となり、改善が見られない場合は勧告・命令、最終的には公益認定の取消しに至る可能性もあります。新たに加わった記載事項も、単なる事務作業としてではなく、法人としての説明責任を果たす機会として捉えておきたいところです。


    4. おわりに

    令和7年度分の事業報告等を無事に提出できたことは、まずは一区切りとしてよいことだと思います。そのうえで、今回新たに加わった記載事項は、次の提出までに時間をかけて準備しておく方が、結果的に負担が少なくなるものばかりです。「今年は乗り切ったから大丈夫」ではなく、「今のうちに、来年のための土台を整えておく」という視点を持っていただければと思います。

    制度や様式の細かな改正は今後も続くことが予想されますので、私たちも実務に役立つ情報を継続してお届けしてまいります。


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