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【実務解説】令和7年公益法人制度改革で大きく変わる3つのポイント
法令・制度改正
いよいよ令和7年(2025年)4月から大規模な制度改革が始まります。
この改革は、公益法人の活動をより効果的かつ柔軟なものとするために設計されており、実務面でも大きな変更が予定されています。本記事では、経理担当者・実務担当者の皆様に特に関係の深い改革のポイントを、具体的な対応策とともに解説いたします。
目次
- 1. 財務規律の大幅な柔軟化
- 2. 行政手続きの簡素化
- 3. ガバナンス強化と透明性向上
- 4. 実務担当者の準備ポイント
- 5. おわりに
1. 財務規律の大幅な柔軟化
収支相償から中期的収支均衡への転換
従来の収支相償の原則では、単年度での収支一致が求められ、多くの法人が事業運営に課題を感じていました。新制度では、この原則が大きく見直され、より現実的な「中期的収支均衡」という考え方が導入されます。
具体的には、5年程度の期間で収支のバランスを取ることが可能となり、公益目的事業全体での収支判定や、過年度の赤字も含めた収支差額での判定が行われるようになります。これにより、単年度の収支にとらわれすぎることなく、中長期的な視点での事業計画立案が可能となります。
💡実務担当者向けTip
● 中期事業計画の策定時期の見直し
● 収支計画の立案方法の再検討
● 予算管理システムの更新検討
公益充実資金制度の新設
新たに導入される公益充実資金は、既存の特定費用準備資金と資産取得資金を統合し、より使いやすい制度として設計されています。この改正により、資金管理の柔軟性が大幅に向上することが期待されます。
特に注目すべき点は、複数の目的を一つの資金として管理できるようになることです。これにより、事業環境の変化に応じた資金の効率的な活用が可能となり、より戦略的な資金計画を立てることができます。また、目的変更も柔軟に行えるようになるため、社会ニーズの変化にも迅速に対応できます。
使徒不特定財産規制の見直し
従来の「遊休財産」という用語が「使途不特定財産」に変更されるとともに、その規制内容も大きく見直されます。この変更は単なる名称変更ではなく、財産管理の考え方を根本から見直すものといえます。
保有制限から除外できる資金の範囲が拡大され、保有上限も過去5年間の事業費平均額を基準に算定されるようになります。これにより、より実態に即した財産管理が可能となります。
2. 行政手続きの簡素化
行政手続きの面でも大きな変更があります。特に、収益事業等の内容変更に関する手続きが大幅に簡素化され、現状の認定事項から届出事項へと変更されます。この変更により、事務負担の軽減が期待できます。
💡実務担当者向けTip
● 変更手続きの要否の確認方法の見直し
● 届出書類の作成手順の整備
● 関係部署との連携体制の構築
3. ガバナンス強化と透明性向上
区分経理の明確化
新制度では、公益目的事業財産をより明確にするため、以下の3区分での経理が義務付けられます。
1. 公益目的事業
2. 収益事業等
3. 法人運営
この区分経理の明確化により、公益目的取得財産残額の算定が簡素化されることが期待されます。ただし、移行にあたっては、会計システムの改修や経理規程の見直しなど、実務面での準備が必要となります。
外部人材の活用強化
ガバナンスの充実策として、理事・監事の構成にも新たな要件が加わります。具体的には、少なくとも1名は外部人材を登用することが求められ、また、理事と監事の間の利害関係も制限されます。
この要件への対応には、以下のような準備が必要です。
● 外部人材の選定基準の策定
● 候補者の発掘と関係構築
● 役員報酬規程の見直し検討
情報開示の充実>
事業報告書において、ガバナンス充実に向けた自主的な取り組み等の記載が求められるようになります。これは、公益法人の透明性向上を図るための重要な施策です。
4. 実務担当者の準備ポイント
今回の制度改革に向けて、以下の準備を計画的に進めることをお勧めします。
1. 現状分析と課題の洗い出し
● 現行の経理システムの評価
● 規程類の改定必要箇所の特定
● 人材配置の見直し検討
2. 移行計画の策定
●スケジュールの立案
● 必要な予算の見積もり
● 関係者への説明資料の作成
3. 体制整備
● 担当者の育成・研修
● 外部専門家との連携
● 情報収集体制の構築
5. おわりに
この制度改革は、公益法人の運営に大きな柔軟性をもたらすと同時に、適切なガバナンスと透明性の確保も求めています。実務担当者の皆様には、改革の本質を理解し、十分な準備期間を確保して計画的な対応を進めていただきたいと思います。
内閣府令等で具体的な内容が定められる予定ですので、「公益法人information」ウェブサイトなどで最新情報を確認しながら、準備を進めてください。制度改革を通じて、公益法人がより効果的に社会的使命を果たせるよう、共に取り組んでまいりましょう。
本記事の内容は2024年11月時点の情報に基づいています。詳細は今後公表される内閣府令等をご確認ください。