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【実務担当者必見】情報公開が変わる!公益法人の信頼強化に向けた新要件の詳細
法令・制度改正
令和7年の公益法人制度改革では、情報公開が従来以上に強化され、公益法人の透明性や信頼性を高める仕組みが整備されました。行政庁がインターネットを通じて財産目録等を公表するほか、役員報酬や関連当事者取引の詳細な情報が開示対象となります。また、ガバナンス強化に向けた取り組みも新たに記載が求められます。
本記事では、行政庁による情報公開制度の変更点と、公益法人が準備すべき対応について詳しく解説します。
目次
- 1. 1. 行政庁による情報公開の新たな仕組み
- 2. 情報公開強化の意義
- 3. 公益法人が取るべき対応
- 4. まとめ
1. 1. 行政庁による情報公開の新たな仕組み
対象書類の拡充とインターネット公表
改正認定法第22条第2項により、行政庁は公益法人から提出を受けた以下の書類を手続きなくインターネット上で公表します。
事業年度開始前に作成・提出する書類
⚫️事業計画書
⚫️収支予算書
⚫️資金調達及び設備投資の見込み
⚫️公益目的事業および収益事業の種類・内容
事業年度終了後に作成・提出する書類
⚫️財産目録(貸借対照表、損益計算書、監査報告等を含む)
⚫️役員等名簿、社員名簿
⚫️役員報酬等の支給の基準
⚫️運営組織等の概要
⚫️事業活動に関する重要な事項
これらの書類はインターネットで一般公開され、国民誰もが簡単にアクセスできるようになります。
役員報酬等の詳細な開示
役員報酬については、従来の報酬規程に加え、以下の内容が新たに開示対象となります。
⚫️役員・監事ごとの報酬等の総額
⚫️2,000万円以上の報酬・給与を受ける役員の金額と、その額とする理由
これにより、役員報酬の適正性が明確化され、公益法人の運営が公正かつ透明なものになることが期待されます。
関連当事者取引の情報開示拡充
関連当事者の範囲の見直し
改正認定法および令和6年会計基準では、関連当事者の定義が拡充され、以下の者が対象となります。
⚫️役員・評議員及びその近親者
⚫️使用人及びその近親者
⚫️社員および基金拠出者(公益社団法人の場合)
⚫️設立者(公益財団法人の場合)
100万円を超える関連当事者取引については、以下の情報を財務諸表に注記する必要があります。
⚫️取引先の氏名・名称
⚫️法人との関係
⚫️取引内容
⚫️取引金額
さらに、役員の利益相反取引や、法人と密接な関係を持つ者への特別な利益供与が厳しく監視されることになります。関連当事者取引の有無については「事業活動に関する重要な事項」にも記載する必要があり、
事業報告書へのガバナンス取り組みの記載
関連当事者の範囲の見直し
事業報告書には、従来の事業の実施状況に加えて、ガバナンスへの取り組みが新たに記載事項として追加されました。
ガバナンス情報として、次の内容が想定されます。
⚫️理事会や監事の活動状況
⚫️内部統制やリスク管理の取り組み
⚫️ガバナンス充実に向けた具体的施策
この取り組みにより、公益法人が自主的に健全な運営を実施しているかが明確に示され、関係者や国民の信頼を高める効果が期待されます。
2. 情報公開強化の意義
透明性と信頼性の向上
行政庁が提出書類をインターネットで公開することで、公益法人の活動内容や財務状況が一目でわかるようになります。役員報酬や関連当事者取引の開示も強化され、法人運営の透明性が確保されます。
ガバナンスの充実
ガバナンスへの取り組みを公表することで、公益法人が自主的に健全な運営を行う動機づけになります。利益相反取引の監視や特別利益供与の防止も徹底されます。
国民と関係者のチェック機能の強化
情報公開が進むことで、国民や法人関係者が公益法人の活動をチェックし、不適切な運営を未然に防ぐ役割を果たすことが期待されます。
3. 公益法人が取るべき対応
令和7年の制度改革に伴い、公益法人は次の対応が必要です。
1. 事業年度開始前の書類作成・提出の徹底
2. 役員報酬や関連当事者取引の情報精査と開示準備
3. 事業報告書へのガバナンス取り組みの記載強化
4. 個人情報の適切な管理と誤提出の防止
提出書類はそのまま公開されるため、誤りがないか事前に厳密な確認が求められます。
4. まとめ
令和7年の公益法人制度改革により、行政庁による情報公開が大きく強化されます。これにより、公益法人は活動の透明性と信頼性を一層高める必要があります。
⚫️役員報酬や関連当事者取引の詳細な開示
⚫️事業報告書へのガバナンス情報の記載
⚫️インターネットを通じた情報公開の迅速化