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中期的収支均衡を実現するための財務戦略とは?
「研究会」だより

公益法人の皆さん、こんにちは。
2025年度から導入される新しい財務規律「中期的収支均衡」について、具体的に解説します。この新制度は、公益法人が持続可能な運営を実現するための重要な基盤となります。本記事では、改革の概要や具体的な財務戦略を分かりやすく整理し、皆様が効果的に準備を進められるようお手伝いします。
目次
- 1. 中期的収支均衡とは?
- 2. 中期的収支均衡を成功させるための5つの戦略
- 3. まとめと次のステップ
1. 中期的収支均衡とは?
中期的収支均衡とは、収支相償原則(費用を超える収入を得てはならない)を見直し、財源の有効活用という趣旨が明確になるよう収支均衡(収入を費用に充てる)を規定し、5年というスパンで均衡を求めるものです。これにより単年度の赤字や黒字に縛られず、柔軟かつ計画的な財務管理が可能になります。
ポイント
●5年間の収支バランス : 単年度ではなく、5年単位で収支が均衡していれば問題なし。
●公益充実資金の活用 : 将来の公益目的事業のための戦略的な資金活用が求められる。
●計画的な資金運用 : 長期間を見据えた資金管理は、安定的な運営を支える柱となる。
●透明性の向上 : 区分経理が原則義務化されるなど、説明責任が重視される。
●定期的な財務戦略の見直し : 変化に対応する柔軟性が必要となる。
2. 中期的収支均衡を成功させるための5つの戦略
1. 5年間の収支バランスを重視
新制度では、単年度ごとの黒字・赤字をすぐに是正する必要はありません。5年間のスパンで収支バランスを評価し、長期的な視点で財務管理を行うことが重要です。
実践のヒント
●中長期的な事業計画に基づく収支計画を策定
●年度をまたぐプロジェクトの実施を計画的に進行。
●赤字の通算も可能なため、柔軟な予算編成を検討。
2. 公益充実資金の戦略的活用
公益充実資金は、中期的収支均衡を実現するための重要なツールであり、複数の目的のものを1つの資金で管理することができ、使途変更の柔軟性等を高めたものとしてより戦略的な使用が可能になります。
具体例
●新規事業 : 地域社会への影響力を拡大するプロジェクトに活用。
●施設改修 : 老朽化した施設や設備の更新を長期的計画に基づいて実施。
●研究費用 : 持続可能な事業運営のための基盤研究を支援。
※公益充実資金とは、認定法第14条において、公益目的事業を充実させるため将来におい て必要となる資金として定義されており、その積立額は、中期的収支均衡の判定上費用と みなされます(従来の公益目的事業会計における特定費用準備資金及び資産取得資金を統 合したものです)。
3. 計画的な資金運用
5年間という長期間を見据えた資金管理は、リスクを軽減しつつ、公益法人の安定的な運営を支える柱となります。
戦略
●収支予測 : 各年度の収支を予測し、適切な資金配分を実施。
●施設改修 : 老朽化した施設や設備の更新を長期的計画に基づいて実施。
●研究費用 : 持続可能な事業運営のための基盤研究を支援。
4. 財務の透明性向上
新制度では、財務状況を透明化し、関係者にわかりやすく説明することが求められます。
具体的アクション
●会計区分別内訳を明確にした財務諸表の作成。
●理事会や評議員会での財務戦略の定期報告。
●ウェブサイトでの財務情報の積極的な公開。
5. 定期的な財務戦略の見直し
長期間を対象とするため、変化に対応できる柔軟性が不可欠です。
見直しのポイント
●毎年度末に財務状況を評価し、必要に応じて戦略を微調整。
●経済環境や法改正に応じた計画の再構築。
3. まとめと次のステップ
中期的収支均衡の導入は、公益法人に新たな財務管理の視点を提供します。長期的な計画を立て、柔軟かつ戦略的な資金運用を実現することが鍵です。
重要なポイントをおさらい
●5年間の収支バランス : 柔軟な財務管理を実現。
●公益充実資金の活用 : 資金を戦略的に運用。
●透明性の向上 : 関係者への説明責任を強化。
●定期的な見直し : 経済や事業環境に応じた柔軟性を確保。
次に取るべき3つのアクション
1.現在の財務状況を5年スパンで分析し、長期的な視点で収支計画を策定。
2.公益充実資金の活用法を検討し、新しい事業計画を作成。
3.財務情報の開示体制を見直し、透明性を高める施策を導入。