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「研究会」便り 第5回

「研究会」便り

◆「研究会」とは?
 ソフトウェア業界の最新の動向や技術に関すること、公益法人をはじめとする非営利分野の会計を含む制度に関する調査、研究を行い、ソフトウェア開発に活かすために満喜株式会社内に設けた組織です。
 今後、『「研究会」便り』では弊社のソフトウェアに関すること、制度に関することなど、私見が入ることもあるかと思いますが、情報発信していきます。

    1. 第5回 会計基準改正議論における「わかりやすさ」について

     現在進められている公益法人制度制度改革において、財務規律の見直しによる法人の経営裁量の拡大が予定されています。これに伴い、財務情報の透明性の向上、わかりやすい形での情報開示を行うため会計基準の見直しも並行して作業が進められています。
     新会計基準の案の公表は令和6年度になると思われますが、「公益法人の会計に関する研究会」の令和5年度報告において、新基準における財務諸表のイメージや見直しの方向性が示されました。
    この見直し作業は、「わかりやすい情報開示」を主眼に議論が進められていますが議事録や公表資料を見ていて、気になっているのがこの「わかりやすさ」の意味合いです。
     なるべく、簡素でわかりやすいものという主旨は理解できるのですが、誰が何を理解するための「わかりやすさ」を追及しているのか、この点に違和感があります。
     財務諸表作成に関して公益法人は一般企業と比べると、慣れていない方も多いのでより簡単で、参加者(研究会のメンバー)の皆さんが分かりやすい財務諸表が一番役に立つでしょうという主旨の発言をされる方がおられたり、一般の企業の方たち、ステークホルダーとして入ってく人たちが、公益法人をよく知らなくても、最初に財務諸表を見て、直感的に分かることが必要だという発言も見受けられます。企業会計と似たものを作っておけば、見慣れている人が多いからいいだろうということでしょうか、わかりやすくなったと判断してもらえるということでしょうか。公益法人をよく知らない人が直感的に何かが分かる形ができあがったとして、それで「わかりやすく」なったことになるのでしょうか。
     さらに公益法人会計特有の科目である基本財産や特定資産について、多くの資産から構成されている資産の固まりを一つの特定資産として表示するのは、わかりやすいかもしれないが、監査する人が特定資産の実在性の監査をするときに、この特定資産の明細と突合するのは複数の普通預金、複数の有価証券など、多くの資産が特定資産の中に入り交じっていると非常に分かりづらく大変だろうと、実際、監事の方から特定資産はわかりづらいと言われたと、そのような話も議事録に記載されていました。これは特定資産としての表示のわかりやすさより監査の困難さを避けることを誘導しているような印象を受けました。 
     ここでは、個別の論点へのこれ以上の言及は避けますが、必要な情報を必要な人に届けるための「わかりやすさ」になっているのでしょうか。企業会計の財務諸表を見慣れている人が公益法人の財務諸表を見て、見慣れた形をしていれば「わかる」ことがあるかもしれません。しかし、本当に必要なことを理解していただけるのでしょうか。
    形を変えることでこれまでの意味を失っている金額の表示では読み取れないこともあります。公益法人の活動や会計の特性がどれだけ理解していただけるのでしょうか。多くの人がよく知る企業会計に形を合わせていくことが重要なことだとは私には思えません。
     会計基準の改変に携わられる先生方には、一見、「わかりやすさ」を多少欠いたとしても、企業会計との相違や特徴を「わかる」まで説明を続けることで理解者を増やし、制度の発展に努めることを最初に考え、実行していただきたかったです。

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