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公益法人会計Q&A vol.2
会計・税務
満喜株式会社のホームページをご覧いただきありがとうございます。
過去にメルマガで配信いたしました「公益法人会計」のQ&Aを掲載します。
新しい発見や今までと違う観点からの情報が得られるかも?
今後も継続して新しいQ&Aを掲載していきますのでお楽しみに!
目次
- 1. 作成すべき財務諸表等
- 2. 「指定正味財産」の使途の制約
1. 作成すべき財務諸表等
【Q1】
公益法人では収益事業等で生じた利益の50%以上を公益目的事業会計に繰り入れることになっています。利益の50%を超える繰り入れを行った場合、貸借対照表内訳表の作成が求められています。
50%を超える繰り入れを行い貸借対照表内訳表を作成している法人が50%の繰り入れに変更した場合、貸借対照表内訳表の作成は必要なくなるのでしょうか。
【A1】
公益法人会計基準「第1.3(3)」では、「会計処理の原則及び手続並びに財務諸表 の表示方法は、
毎事業年度これを継続して適用し、みだりに変更してはならない」とされています。
したがって、一旦50%超を繰り入れ、貸借対照表内訳表を作成した場合は、例えば以下のような合理的な理由がある場合を除き、法人の選択によりその後の繰入れが50%に留まった場合でも、表示の継続性から内訳表の作成を維持することになります。
(1)会計基準等の新たな制定・改正に伴い行われるものであること
(2)法人の事業活動・内容及び経営環境の変化に対応して行われるものであること
(3)取引を財務諸表に今まで以上に、より適切に反映するために行われるものであること
(4)事実と異なる報告をしようとするなどの不正処理を目的としていないこと
変更する場合、決算書類の種類が異なることになるため、行政庁へ事前に確認するのが妥当であると考えられます。なお、合理的な理由により変更を行う場合は、財諸諸表に対する注記において、その旨と変更する理由を記載する必要があります。
2. 「指定正味財産」の使途の制約
【Q2】
寄附者の使途の指定は、どの程度具体的になされている必要があるのでしょうか。
過去にされた寄附で、指定が十分に明確ではない場合には、どのように対応すればよいでしょうか。
確認作業が膨大となることが見込まれる場合や、寄附者が死亡している場合の対応方法も含めて解答してください。
【A2】
使途の制約については、例えば、「公益目的事業の○○事業に充当して欲しい」や「奨学金事業の奨学金の財源に充当して欲しい」と具体的に表現される必要があり、「公益目的事業に使って欲しい」というだけでは、一般的には、使途の制約があるとは認められません。寄附を受ける時点で、寄附者の意思を十分に確認し、明確にしてもらうことが必要です。
特に、管理費や収益事業にも使用できる形では、使途の制約があるとは言えません。必ず、「寄附金のうち○%は管理費の財源とし、△%は公益目的事業の○○事業に充当し、×%は公益目的事業の◇◇事業に充当して欲しい」というような形で区分して、指定をすることが必要です。
(注)指定正味財産を財源とする基本財産の運用益は、一般には、運用益の発生した当該事業年度の費用に充当することを期待していると考えられ、具体的な使途の制約があるものについてのみ、指定正味財産として取扱うことが適当です。
過去にされた寄附であって、寄附契約書の記載が十分でない場合は、寄附の際の募集要項や、寄附当時の理事会等の議事録その他寄附者の意思が確認できる文書を通じて使途の確認を行っていただく必要があります。
寄附者の意思を確認できる文書が無かったり、当該文書を探し出すのに膨大な作業が発生したりするような場合、あるいは寄附者の死亡により確認が困難であることなども考えられます。寄附者が生存している場合には、改めて当該寄附者の意思を確認するか、寄附者が亡くなっている場合には、当該寄附者の意思を関係者に聴くことによって、使途を明確化することができるときは、当該寄附者の意思により明確に使途に制約がかけられているとみなしても差し支えないものと考えられます。
または、既に定められている法人内部の寄附金に関する規程等によって寄附者の意思の範囲内で具体的な事業を特定されているか、具体的な事業に配分することができるときには、当該寄意思により明確に使途に制約がかけられているものとみなしても差し支えないものと考えられます。その場合には、法人におけるこれまでの当該寄附の取扱いから、寄附者の意思を合理的に推定できる場合には、理事会での確認等をもって、使途の確認に代替できると考えられます。
また、審査に当たっては、寄附者の意思が確認できる文書、使途の確認の代替手段としての理事会の議事録等の提出を求められる場合がありますので、ご留意ください。