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読者の疑問に答える! 新制度で変わる役員報酬とその他報酬のポイントを解説
会計・税務
令和7年(2025年)4月から始まった公益法人制度改革により、役員報酬の開示と公表に関する規定が大きく変わります。この改革は、組織の透明性と信頼性を高める上で非常に重要です。本記事では、新制度における役員報酬開示の重要性と具体的な方法について、わかりやすくお話しします。
目次
- 1. なぜ役員報酬の開示が重要なのか?
- 2. 令和7年度改正における役員報酬開示の基本ルール
- 3. 「不当に高額」の判断基準
- 4. 適切な開示が行われない場合のリスク
- 5. まとめ
1. なぜ役員報酬の開示が重要なのか?
公益法人は、国民からの寄附や税制優遇を受けて活動しています。つまり、公益法人の財産は「公のもの」という側面があるのです。そのため、一般企業以上に高いレベルでの透明性が求められています。
例えるなら、公益法人は「ガラスの家」のようなものです。外から中が見えやすいほど、人々は安心して近づいてくれるのです。具体的には、適切な報酬開示により、以下のような効果が期待できます:
⚫️寄附者からの信頼向上
⚫️行政庁による監督の円滑化
⚫️組織のガバナンス強化
2. 令和7年度改正における役員報酬開示の基本ルール
1.支給基準の公表
役員報酬の支給基準を公表することが求められます。これは「どのような基準で報酬を決めているのか」を明らかにするものです。
2.支給実績の開示
基準だけでなく、実際にいくら支払ったかも開示する必要があります。従来は役員報酬の総額のみ開示の対象でした。改正により以下の点が追加されました。
⚫️常勤・非常勤別の理事数、監事数、評議員数、理事・監事・評議員ごとの報酬等の総額が新たに公表対象となりました。報酬には退職手当も含まれます。
⚫️法人から受ける報酬・給与の合計額が2,000万円を超える役員がいる場合、その額と必要性についても開示が義務付けられました。これらは個別に開示しなければなりません。
3.公開方法の変更
これまで行政庁への閲覧請求が必要だった役員報酬の支給基準等の書類は、インターネット上(「公益法人information」)で誰でも閲覧できる形で公表されるようになります。令和7年4月1日以降に提出された書類が新たなインターネット公開の対象となります。
3. 「不当に高額」の判断基準
公益認定の取り消しになりうる役員報酬等の「不当に高額な報酬」の判断は、絶対的な金額だけでなく、以下の要素を考慮して行われます:
⚫️同種・類似法人の役員報酬との比較(2倍超は要注意)
⚫️法人の規模や事業内容
⚫️役員の責任や困難度
例えば、合理的な理由がないにも関わらず、「同種・類似法人の役員報酬の2倍超」の役員報酬が支給されるような場合は、不当に高額な報酬に該当するため注意が必要です。
4. 適切な開示が行われない場合のリスク
役員報酬に関する情報開示が適切に行われない場合、以下のようなリスクがあります:
1.法人のガバナンスが機能していないと見なされる
2.社会通念を大きく上回る報酬は「不当に高額」と判断される可能性がある
3.行政庁による監督措置の対象となる可能性がある
つまり、適切な開示は法人を守るための重要な取り組みなのです。
5. まとめ
令和7年度の制度改革に向けて、役員報酬の開示は単なる義務ではありません。それは、公益法人が社会からの信頼を獲得し、維持するための重要なツールなのです。