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外部理事・外部監事の選任基準とは? 公益法人担当者必見の実務解説
法令・制度改正
公益法人の経理担当者や管理者の皆さん、こんにちは。令和7年(2025年)4月から始まった公益法人制度改革について、ご存知でしょうか?今回は、この改革の重要なポイントである「外部理事」と「外部監事」の導入について、わかりやすくお伝えします。
目次
- 1. 公益法人制度改革
- 2. 外部理事・外部監事とは?
- 3. 外部理事・外部監事の役割と期待される効果
- 4. 準備のポイント
- 5. 適用除外となる基準
- 6. 公益法人制度改革のその他のポイント
- 7. まとめ
1. 公益法人制度改革
公益法人は社会に大きな貢献をしていますが、一部の法人で不適切な運営が問題となっていました。例えば、内部の人間だけで意思決定を行い、外部の意見を聞かないケースや、法人を私的に利用するケースなどです。これらの問題を解消するため今回の制度改革の1つとして、理事、監事に関して従来の特別利害関係にあるものを3分の1以内に抑えるという規制に加え、外部理事、監事を最低1名設置することが公益認定要件となりました。
2. 外部理事・外部監事とは?
外部理事の定義
外部理事とは、法人やその子会社と利害関係のない人のことです。
具体的には:
⚫️法人やその子会社の業務執行理事(理事長や常務理事など、実際に法人の業務を行う理事)
や従業員ではない人
⚫️過去10年間、上記の立場になかった人
⚫️公益社団法人の場合は社員(会員)でない人
⚫️公益財団法人の場合は設立者でない人
外部監事の定義
外部監事は、外部理事よりもさらに厳しい基準があります:
⚫️法人やその子会社の理事や従業員ではない人
⚫️過去10年間、上記の立場になかった人
⚫️公益社団法人の場合は社員(会員)でない人
⚫️公益財団法人の場合は設立者でない人
3. 外部理事・外部監事の役割と期待される効果
外部理事・外部監事は、法人の運営に新しい視点をもたらします。例えば:
1.社会の課題を踏まえた柔軟な意見の提供
⚫️例:環境問題に詳しい外部理事が、法人の活動に環境配慮の視点を取り入れる提案をする
2.理事会での活発な議論の促進
⚫️例:これまで当たり前と思われていた慣習に対して、外部の目線で疑問を投げかける
3.法人運営の客観的なチェック
⚫️例:財務状況や事業計画を外部の目で精査し、改善点を指摘する
これらの役割を通じて、法人のガバナンス(組織の統治)を強化し、より健全で透明性の高い運営を実現します。
4. 準備のポイント
1.現在の理事・監事の構成を確認する
2.外部理事・外部監事の候補者リストを作成する
⚫️例:地域の大学教授、弁護士、公認会計士など
3.定款や内部規程の見直しを検討する
4.理事会で新制度について議論し、方針を決める
5. 適用除外となる基準
理事に関しては、外部理事設置が適用除外となる要件が定められています。
収益 :3,000万未満 かつ
費用・損失:3,000万未満
6. 公益法人制度改革のその他のポイント
外部理事・外部監事の導入以外にも、重要な改革があります:
1.財務規律の柔軟化
⚫️例:収支相償の規制緩和により、より柔軟な資金運用が可能に
2.行政手続きの簡素化
⚫️例:一部の変更認定申請が届出で済むようになり、手続きが簡単に
3.開示情報の拡大
⚫️例:役員報酬の開示範囲が拡大し、より透明性の高い運営が求められる
これらの施策により、公益法人の運営がより効率的かつ透明になることが期待されます。
7. まとめ
外部理事・外部監事の導入を含む今回の制度改革は、公益法人の健全な運営を支える重要な取り組みです。この機会に、ガバナンス体制を見直し、より強固なものにしていきましょう。