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会計担当者必見!! 使途不特定財産算出過程で控除される控除対象財産(=使途拘束財産)ってどのような財産?
会計・税務
公益法人の経理担当者・管理者の皆様、令和7年(2025年)4月から始まった公益法人制度改革についてご存知でしょうか?この改革では、財務規律の柔軟化や行政手続きの簡素化など、大きな変更が予定されています1。本記事では、この改革を踏まえて「控除対象財産」について、わかりやすく解説します。
目次
- 1. 控除対象財産とは?
- 2. 控除対象財産の6つの種類と管理のポイント
- 3. 控除対象財産の4つのポイント
- 4. まとめ
1. 控除対象財産とは?
控除対象財産とは、簡単に言えば「使用又は使用される見込みがある財産」のことです。公益法人が保有する財産のうち、特定の目的のために使用されている、あるいは使用される予定の財産を指します。公益法人会計基準における「使途拘束資産」と同じです。
令和7年の制度改革により、公益法人の財務規律が大幅に柔軟化されます。この変更に伴い、控除対象財産の適切な管理がより一層重要になります。正確な把握と管理は、以下の点です
1. 法人の財務状況の適切な評価
2. 効果的な資金管理の実現
3. 公益目的事業の継続性の担保
2. 控除対象財産の6つの種類と管理のポイント
1. 公益目的保有財産
公益目的事業(公益法人が行う公益性の高い事業)に継続的に使用される財産です。
例:公益目的事業用の建物、設備
2. 法人活動保有財産
公益目的事業以外の用途(収益事業や管理業務など)に使用される財産です。
例:収益事業用の事務所、管理業務用の備品
3. 公益充実資金
公益目的事業の拡充や新規事業立ち上げのための資金です。
旧制度の公益目的事業に係る特定費用準備資金及び資産取得資金を統合し、法人の実情や環境変化に応じた柔軟な資金管理が可能になるよう創設されました。
例:イベント開催費用、周年記念事業準備金、公益目的事業用の什器備品の取得資金を一括して管理
4. 資産取得資金
将来の固定資産取得や改良のための資金です。
旧制度の収益事業又は法人会計に係る資産取得資金が対応します。
例:新事務所購入資金、施設改修資金
5. 特定費用準備資金
将来の特定活動のための資金です。
旧制度の収益事業又は法人会計に係る特定費用準備資金が対応します。
例:大規模イベント開催費用、周年記念事業準備金
6. 指定寄附資金
寄附者が使途を指定した資金です。
3. 控除対象財産の4つのポイント
1. 明確な区分:令和7年基準では、貸借対照表の特定資産の区分は廃止されます。このため、内部管理において預金等の財産の使途を明確に区分し、資金を適切に管理する必要があります。
2. 定期的な見直し:財産の使用状況や将来計画を定期的に見直しましょう。
3. 透明性の確保:財務諸表や事業報告書で、内容と金額を明確に開示しましょう。
4. 規程の整備:公益充実資金、特定費用準備資金や資産取得資金の積立・取崩し要件を定めた規程を整備しましょう。
4. まとめ
控除対象財産の適切な管理は、公益法人の健全な財務運営の基礎となります。令和7年の制度改革に向けて、今から以下の準備を始めることをお勧めします:
1. 現在の財産区分の見直し
2. 新制度に対応した規程の整備
3. 理事会・評議員会への報告体制の構築