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【実務担当者必見】令和7年公益法人制度改革で変わる財務規律の全容
法令・制度改正
令和7年(2025年)4月から施行される制度改革により、財務規律が大きく変わります。この改革は、公益法人が直面してきた実務上の課題に応えるものです。
内閣府の調査によると、公益法人の約60%が「単年度での収支相償の達成」を課題として挙げており、より柔軟な制度設計が求められていました。今回の改革は、そうした現場の声に応えつつ、公益活動の活性化と透明性の向上を両立させることを目指しています。
目次
1. 実務が大きく変わる!中期的収支均衡への移行
従来の課題と新制度のポイント
これまで悩みの種だった単年度での収支相償原則が、より現実的な「中期的収支均衡」へと移行します。
<具体的な変更点>
●収支均衡の期間が5年程度に拡大
●事業単位から公益目的事業全体での判定へ
●過去4年間の赤字を通算可能に
●黒字が出ても5年間での解消が可能
💡実務担当者のためのTip
例えば、大規模なイベント開催年度の赤字を、その前後の黒字で相殺することが可能になります。
具体的な活用例:
・3年に1度の大会開催
・設備投資を伴う新規事業の立ち上げ
・長期的な研究プロジェクト
2. 資金管理の新制度:公益充実資金の創設
より柔軟な資金運用が可能に
新設される「公益充実資金」は、既存の特定費用準備資金と資産取得資金を統合し、より使いやすい制度として設計されています。
<主なメリット>
●複数目的の一括管理が可能に
●事業間での資金融通が容易に
●将来の新規事業への備えが可能
💡実務担当者のためのTip
A財団の事例:
・研修事業用の備品購入
・システム更新
・新規奨学金制度の立ち上げ
これらを一つの資金として管理可能になります。
3. 使途不特定財産規制:より予測しやすい基準へ
遊休財産規制からの進化
新しい使途不特定財産規制は、より実態に即した財産管理を可能にします。
<変更のポイント>
●保有上限:過去5年間の事業費平均額が基準に
●予備財産の考え方を明確化
●より長期的な視点での財産管理が可能に
4. 区分経理の明確化:透明性向上への対応
3区分での経理が原則に
財務状況の透明性向上のため、資産・負債についても以下の区分経理が義務付けられます:
・ 公益目的事業
・ 収益事業等
・ 法人運営
※収益事業を行っていない等、一部の法人については、区分経理が免除されます。
5. 実務担当者のための準備チェックリスト
□ 中期収支計画の見直し
□ 会計システムの更新検討
□ 経理規程の改定準備
□ 区分経理の体制整備
□ 理事会への説明資料作成
6. おわりに:新制度を活かすために
この制度改革は、公益法人の実務担当者の皆様に、より柔軟な資金運用の機会を提供します。一方で、適切な管理体制の整備も求められます。
今後も内閣府から詳細な規定が公表される予定です。「公益法人information」等で最新情報をチェックしながら、計画的な準備を進めていきましょう。
本記事の内容は2024年11月時点の情報に基づいています。詳細は、今後公表される内閣府令等をご確認ください。